猫の乳がん
こんにちは。習志野市奏の杜/津田沼/谷津の 『奏の杜どうぶつ病院』 院長の愛宕です。
猫ちゃんの乳腺はおなか側の皮下の広い範囲に存在しており、その場所にできる腫瘍を総称して「乳腺腫瘍」と呼びます。
今回は特に、猫ちゃんの「がん」のなかでも早期の避妊手術で予防ができる「乳腺癌(乳がん)」のお話です。
■猫の乳がんって?
実は、病気で亡くなる猫ちゃんの死因の約1/3が悪性腫瘍(がん)といわれており、猫ちゃんの悪性腫瘍で最も多いのが乳腺癌(乳がん)なのです。(出典:Animal Health Survey, Morris Animal Foundation, 1998 / Veterinary Oncology Vol.8, Interzoo, 2015)
乳がんが発生する猫ちゃんは99%が女の子(男の子でも稀に発生します!)で、発生リスクのピークは10〜12歳前後といわれています。
しかし、経験的にも7〜8歳の猫ちゃんに乳がんが発生することは珍しくないため、若いからといって安心というわけではありません。
■ 早期の避妊手術で予防ができる
乳がんの発生はホルモンバランスと関係があることがわかっており、そのため、早期に避妊手術を行うことで乳がんの発生率を低下させることができます!
当院では、内臓機能が成熟し、なおかつ乳がんの予防効果の高い6ヶ月齢前後での避妊手術をおすすめしております。
■避妊手術以外に予防のためにできることは?
避妊手術以外に乳がん予防に有効な方法は見つかっていません。
しかし、予防はできなくても、早期に発見することで完治(寛解)させられる可能性は高くなります!
腫瘍の直径と治療後の生存期間(余命)を調べた研究では、腫瘍の直径が2cm未満で治療を開始した猫ちゃんの生存期間中央値は4.5年とかなり長期間であり、腫瘍によって命を落とすことなく天寿を全うできた猫ちゃんもたくさんいると考えられます。
しかし、治療時の腫瘍のサイズが大きくなるにつれて残念ながら生存期間は短くなっていき、2〜3cmで約2年、3cm以上では約6ヶ月というデータも出ています。(出典 : McNeill CJ, JVIM, 2009)
※生存期間はあくまで中央値であり、腫瘍が大きくても治療後長く生きられる猫ちゃんもいます。
とはいえ、全身が毛に覆われていて、うつ伏せの4本足で歩いている猫ちゃんの乳腺のしこりを早期に見つけるのはなかなか難しいと思います。
そこで、当院ではご自宅での「乳がんチェックマッサージ」をおすすめしております。
方法は以下のサイトに詳しく紹介されているので、ぜひ実践してみてください!
猫の「乳がん」は飼主が見つける!「乳がんチェックマッサージ」のやり方とポイント(外部サイト)
おなかのしこりに気付いたら「大きくならないか様子を見よう」ではなく、すぐに病院を受診することが大切です。
当院には獣医がん学会所属の腫瘍科認定医Ⅱ種の資格を持つ獣医師が在籍しております。
いつでもご相談ください。
もちろん、避妊去勢手術のご相談も承っております!
奏の杜どうぶつ病院 愛宕哲也