僧帽弁閉鎖不全症 〜ご自宅でできること〜
以前、ワンちゃんに最も多く見られる心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」の症状や治療法についてご紹介しました。今回はその続きとして、ワンちゃんがこの病気を抱えている場合に、ご家庭でできることや気をつけてほしいポイントをお伝えします。
ご家庭でできること
心臓病の診断を受けると、飼い主さんは不安を感じるかもしれません。しかし、心臓病だからといって、ずっと家の中で過ごさせなければならないわけではありません。散歩やおやつを完全に禁止するのは逆にストレスを増してしまいます。適度な運動は、筋肉の維持や健康を保つために非常に大切です。
もちろん過度な運動は避けるべきですが、散歩や軽い運動を続けてあげることが重要です。心臓に負担をかけず、ストレスなく楽しめる運動量を見極めることがポイントです。
また、獣医師から処方された薬は、指示された通りにしっかりと投与してください。心臓病の治療薬は、通常、生涯にわたって続けていく必要があります。薬の飲ませ方に困ったり、負担を減らしたい場合は、獣医師に相談してみましょう。ワンちゃんや飼い主さんにとって負担にならない方法を考え、対応することが大切です。
定期的な検診も忘れずに。ワンちゃんの症状が進行していないか、お薬が適切かを確認することが、病状の改善や予防に繋がります。
安静時の呼吸数をチェックしてみよう
僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、肺に水が溜まり、呼吸が苦しくなることがあります(肺水腫)。自宅でできる簡単なチェック方法のひとつが「安静時呼吸数」の測定です。
ワンちゃんが寝ている時やリラックスしている時の呼吸を観察し、その回数をカウントしましょう。目安として、1分間に40回以上の呼吸が続く場合、肺に水が溜まっている可能性があります。呼吸回数をカウントするのに必要なのは、15秒間または30秒間の観察で、簡単に計算できます。
例えば:
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15秒で6回の呼吸 → 6 × 4 = 24回/分
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30秒で14回の呼吸 → 14 × 2 = 28回/分
カウントが難しい場合は、動画を撮影してから後で確認する方法もおすすめです。呼吸数のカウントに関して不安がある場合は、遠慮せずに相談してください。
呼吸数を測るアプリを活用しよう
最近では、呼吸数の測定に便利なアプリ「Heart2Heart Canine RRR App」が登場しています。このアプリを使うことで、呼吸数の記録をスマホに保存し、進行状況を簡単に確認できます。ぜひ活用してみてください。
App Store(iPhone版) Google Play(Android版)
自宅での注意点
ご家庭で注意していただきたい点もいくつかあります。まず、呼吸数が増えている、咳が増えた、食欲が落ちて元気がない、などの症状が見られる場合は、心臓病が悪化している可能性があります。少し動いただけでハァハァしてしまう、すぐに疲れてしまう、という場合も、症状の進行を疑うサインです。このような場合は、速やかに動物病院で診察を受けましょう。
また、シャンプーやトリミングに関しても注意が必要です。全身を一度に洗うような方法は、心臓に負担をかけることがありますので、シャンプー前後のワンちゃんの様子をよく観察してください。もし、トリミングサロンにお願いしている場合は、心臓病の治療を受けていることを必ず伝えましょう。サロンとの連携を取ることで、より安心して施術を受けることができます。